【一日一職】経営企画担当者

インタビューの冒頭。Nさんはこう言った。

「いまの仕事の話をした方がいいですか?」
「それとも、前職や前々職のベンチャー企業での話をした方がいいですか?」
「ベンチャー企業の時の話の方が絶対面白いと思うんですけど…」

Nさんによれば、前職のベンチャー企業での仕事は「自分の人生をかけよう!」と思える仕事だったと言う。

だが、いまは別の仕事をしている。

何度もドロップアウトしながらも、自分のやりたいことを追い求め続けるNさん。

その原動力は、「人の人生の選択肢を増やしたい」という強い気持ちだった。


職業:経営企画担当者
氏名:Nさん(男性・30代)
(前職)複数社を経てベンチャー企業役員

どんな仕事?

いまは、非上場の製造業の会社で経営企画の仕事をしている。

経営企画は、「何かを変える仕事」である。

会社の中には、維持する仕事、変える仕事、つくる仕事がある。経営企画は、いますでにある「何かを変える仕事」である。具体的には、社内の業務改革、システム導入、人事制度構築、中期経営計画策定などの業務を行なっている。

ただ、個人的には「何かを変える仕事」よりも、「つくる仕事」の方が好き。もっと言えば、「何かを変える仕事」は、まさに仕事だと捉えているが、「つくる仕事」は、仕事というよりも趣味という感覚を持っている。

「何かを変える仕事」は、社長や上司が指し示した方向に向け、社内外の人々の利害を調整しながら実行していくこと。自分で旗を立てる訳ではない。一方、「つくる仕事」は自分で旗を立てること。立てた旗に人が付いて来てくれること。世の中になかったものが新しく生まれること。

ベンチャー企業2社での事業立ち上げ経験から、自分がゼロからイチを「つくる仕事」が好きだということがわかった。なので、いまは経営企画で「何かを変える仕事」に携わっているが、将来的には「つくる仕事」にも携わっていきたいと考えている。

きっかけは?

31歳の時、知り合いに声をかけてもらい、ベンチャー企業の役員(共同経営者)になった。この時、「自分の人生をかけよう!」と思える仕事に出会った。しかしながら、家族の事情でその仕事を1年半で辞めざるを得なくなった。生活する場所も東京から大阪に移った。その後、しばらく仕事をしない(できない)状態が続いた。引き続き、大阪で生活する必要がある。家族を養う必要もある。そこで、1年ほど前に知り合いのツテで、いまの会社に経営企画担当として入社した。

経営企画担当として入社することができたのは、過去の職歴(システムエンジニアや経営コンサルタント)での経験によるところが大きい。

子どもに勧める?

子どもには、「好きなことをやりなさい」「責任を持ちなさい」と言いたい。また、「大学受験は頑張りなさい」とも言いたい。いい大学に入ったからどうということはないが、社会で働く上での選択肢は広く持っておくことは大切だと思う。

大切にしていることは?

人の人生の選択肢を増やしたい。

選択肢のない状況が一番不幸だと思う。

これを強く感じたのは、20代後半。前々職のベンチャー企業でマネージャーとして働いていた時。東南アジアの国で、ある病気の治療プロジェクトを自ら立ち上げ実施した経験が大きい。

当時、その国では、ある病気の人が多いという調査結果が出ていた。日本では比較的簡単に治療できる病気なのだが、その国ではその病気を治療できる医者が少ない。治療費が高く、富裕層しか治療を受けられない。つまり、所得の高くない人にとっては、その病気を治す、という選択肢がなかった。

そこで、日本の大学の医者の方にボランティアでご協力いただき、その国でその病気の治療プロジェクトを立ち上げ実施した。その時、ものすごい行列ができて、ものすごく感謝していただいた。あるお母さんは、「神様や!」と泣いて喜んでくれた(実際に手術をしたのは医者の方であり、私は何もしていないのですが…)。

その経験が忘れられず、「人の人生の選択肢を増やしたい」「高齢者、障がい者、子どもたちなど、ほんとうに困っている人たちの役に立ちたい」「世の中にまだないものをつくりたい」という気持ちを強く持つようになった。

大変なことは?

これまでの人生は、ドロップアウトの連続だったので、大変だったことばかりです(笑)。

学生時代はJリーガーを目指していたが挫折し、経営コンサルティング会社にいた頃は他人と自分を比べてしまって鬱(うつ)になり、その後に入ったベンチャー企業も1年も経たずに退職し。30代前半で、ようやく「人生をかける仕事に出会えた!」と思ったら、家族の事情でその仕事を1年半で辞めざるを得なくなり。

いまも、家族を養っていくために働いています。でも、仕事とはそういうものだと思っています。

食べていくために工夫していることは?

いまの仕事をしていること自体が食べていくための工夫であり、家族を養って行くための工夫である。

ただ幸い、前職でお世話になった方から「いつでも戻って来いよ」と言っていただいている。一方で、いまの会社の社長にも、私のこれまでの事情や私のやりたいことを理解してもらえている。

1〜2年後には、平日はいまの会社で働き、土日は前職の会社で働く、という働き方をしている可能性が高い。一見すると休みがないように見えるかもしれないが、土日の仕事(=前職での「つくる仕事」)は私にとっては遊びや趣味のような感覚の仕事なので、苦にはならないと思う。また、いまの会社は大阪、前職の会社は東京と距離が離れているが、Skypeを使えば遠隔で関わることもできるので移動の必要もない。

しっかりと家族を養って行くための仕事をしながら、自分の好きなこと、やりたいこともやっていく。

「何かを変える仕事」をしながら、「つくる仕事」もしていく。

一見両立しづらそうなことも、意志と努力と工夫次第で何とでもなると思う。

特に、自分が困った時に「うち来いや!」と言ってくれる人が何人いるか?がすごく大切だと思う。

私も、人が困っている時に「うち来いや!」と言ってあげられる人でありたい。

「肩書きをとった時に、人に対して何ができるのか?」をつねに意識し続けていたい。

Nさんにとって経営企画とは?

あくまでも旗を立てるのは社長や上司である。経営企画は、その実現に向けて「何かを変える仕事」である。


「人の人生の選択肢を増やしていきたい」
「選択肢のない状況が一番不幸だと思う」

Nさんのこの言葉は、私の心に深く響いた。

人は、選択肢を持つことで、未来への希望を持ち続けることができるのではないだろうか。

どっひー&sing

【一日一職】バレリーナ(バレエ講師)

にこやかな笑顔とスッと伸びた背筋。
凛とした佇まいと涼やかな装い。

「なんと言っても姿勢がいい!」

月並みかもしれないが、それが私のHさんに対する第一印象であった。
そこには、ダンサーとしての存在感があった。

一方、インタビューの冒頭、Hさんはこう言った。

「私の職業、バレリーナと言っていいのかな…」

「ダンサーとして食べて行けているわけでもないし…」

Hさんへのインタビューを通してわかったことは、「日本では、女性がバレエダンサーとして食べて行くのは非常に厳しい」という現実だった。


職業:バレリーナ(バレエ講師)
氏名:Hさん(女性・40代)

どんな仕事?

一般にバレリーナと言えば、バレエダンサーを指すと思われますが、日本では女性がバレエダンサーとして食べて行くのは非常に厳しいです。仮に大きなバレエ団に所属できたとしても、その収入だけで生活を成り立たせて行くことは厳しいようで、私の知り合いでもアルバイトをしながら生活している人がいます。

一方、自らがバレエを「踊る」のではなく、バレエを「教える」という道もあります。バレエを「教える」道は大きく3つあります(もちろん、他にもあるかもしれませんが…)。

①個人として名前を売り、いろんな教室に招かれてワークショップ等を提供する

②すでにある教室でバレエ講師を勤める

③自分で教室を開いてバレエを教える

私は、いま自分で教室を開いてバレエを教えています。

きっかけは?

バレエを習いはじめたのは小学2年生の時。友達に誘われてはじめました(友達はその後やめちゃったけど…)。それからずっと、バレエをやり続けています。

子どもの頃からバレエが好きで教室に通い続け、発表会や舞台に立っていました。先輩に憧れて「もっとうまくなりたい」と思ったり、素敵な舞台を見て「私もあんな風に踊りたい」と思ったり。そういう思いを抱きながら、ずっとバレエを習い続け、踊り続けてきました。

でも、25歳くらいの時にふと思いました。周りの友達が働きはじめている中で、「私、このままでいいのかな?」「このまま、教室で習い続けているだけ(言い換えれば、お金を払い続けているだけ)でいいのかな?」と。

その後、バレエ教室を経営している人と知り合ったことをきっかけに、バレエ講師として働くようになりました。

そして2012年。それまでお世話になっていたバレエ教室を離れ、独立しました。いまでは、自分でバレエ教室を開いて経営しています。

独立に際しては、これまでバレエを通じてお世話になってきた方々からあれやこれやと助けていただきました。中には、「先生!スタジオの場所を見つけて来たから、ここで教室を開いてください!」とまで言ってくれる人もいました。

そうやって助けてくれる人たちがいてくれるおかげで、いまも何とか自分の教室を経営できているのだと思っています。

子どもに勧める?

バレエをやることは大いに勧めます。バレエは、本当に素晴らしい総合芸術ですし、 自分の身体にも興味が出るので姿勢や体型も良くなります。マナーも身に付きます。

ただ、バレエを仕事にすることはあまり勧めませんね(笑)。バレエを仕事にするまでやり続けるには、それなりにお金もかかりますから。もちろん、本人にやりたいという気持ちがあり、かつ、それができる環境(支援してくれる人がいるなどの環境)があるのであれば、ぜひ挑戦してもらいたいと思います。

大切にしていることは?

バレエは習い事なので、バレエ好きの人が集まり、かつ、年代を超えた交流の場になればいいな、と思っています。

学校や家庭とは異なり、年齢の離れた人たちが好きなことを共有しながらお互いに切磋琢磨したり励まし合える。そういう場があることは、自分の憧れを抱いたり、諦めずに頑張る気持ちを持ち続けたりする上で、とても大切なことだと思っています。

あと、バレエを教えていて嬉しいなと思うのは、目がキラーン!となる姿を見ることです。子どもでも大人でも、「できなかったことができるようになる」と、その人の目がキラーン!となります。

一人でも多くの方に目がキラーン!となっていただけるよう、「腑に落ちる」伝え方をしていきたいな、と思っています。

大変なことは?

「収入にならへんな〜」です(笑)。

特に女性のバレリーナがお金を払ってばっかりになってしまうバレエ業界の仕組みは、「なんとかならへんのかな〜」といつも思っています。

食べていくために工夫していることは?

「バレエを教えたい!」と思う一方で、すでにバレエ教室はたくさんあります。また、いまのところ日本ではバレエの先生になるのに資格はいりません。競争は激しいです。

なので、未経験者の方でも気軽に教室に来てもらえるよう、バレエ以外のダンスやエクササイズのクラスも展開しています。2012年にジャイロキネシス認定トレーナーの資格を取得したのもその一環です。

また、私自身が、絵画や衣装、ティアラ製作も行なっていることから、「ティアラ講座を開かないか?」というお話もいただいています。

ジャイロキネシスのクラスやティアラ講座などをきっかけに、バレエに興味を持つ人が増えて行ってくれたら嬉しいな、と思っています。

Hさんにとってバレエとは?

なくてはならないもの。いつも考えてしまうものです。

何かを見たり、何かを聴いた時。

「こんな風に踊れたらいいな〜」といつもバレエのことを想像してしまいます。


自分の好きなこと、自分のやりたいことを仕事にすればいい、と言うのは簡単。

その上で、
生活を成り立たせて行けるだけの収入をどうやって得ていくか?
経営を成り立たせて行けるだけの収入をどうやって得ていくか?

好きを仕事にしていくためには、しっかりとお金と向き合い、収入を得るための工夫と努力を重ねていく必要があるということを改めて感じました。

どっひー&sing

【一日一職】塾講師(塾長)

近々、自分の塾を開くSさんは、まずはじめにこう言った。

「小中学生の子どもたちのよりどころとなる環境をつくりたい」

Sさんによれば、「勉強嫌いの子が勉強嫌いを克服するためには、まず自己肯定感を取り戻すことが大切」で、そのためには「勉強のやり方を教える以前に、子どもたちが安心感、繋がり感を持てる環境をつくることが大切」だという。

Sさんがつくろうとしている塾は、単なる学習塾ではない。

「学童と学習塾を足して二で割ったような塾をつくりたい」

Sさんがこれから開く塾の目指す姿は、どうやら新しいタイプの塾のようだった。


職業:塾講師(塾長)
氏名:Sさん(男性・20代)
(前職)一般企業勤務を経て学童保育士など

どんな仕事?

塾講師とは、「自立できる子が育つ環境をつくる人」である。

これから私が開く塾は、学童と学習塾を足して二で割ったような塾をイメージしている。

「どうせできっこないし」と諦めて勉強嫌いになっている子どもたちが、安心感、繋がり感を得て、自己肯定感を持てるようになる。物事をネガティブではなくポジティブに捉えられるようになり、自ら考え、やり方を工夫できるようになる。勉強も仕事も遊びも、自発的に挑戦できるようになる。

そんな、子どもたちのよりどころとなる環境をつくっていきたい。

きっかけは?

塾講師以前に、教員を目指したきっかけは2つ。

①中学生の時に学校に馴染めず、誰にも相談できずに悩んだ。その経験から、学校に「本音で話せる大人がいたら…」という思いを抱き続けていた。

②高校の時に小学生のバスケットチームのコーチをする機会があった。それを見た人から、「おまえ向いてるから、絶対、教員になれ」と言われた。

これをきっかけに「教員を目指そう」と思い、教員免許を取得したが、教員採用試験には合格できなかった。やむなく一般企業で働くことになるも、この環境では「自分らしく生きて行くことはできない」と思い、1年半で退職。学童保育士や発達障害サポーターとして働きながら、学校教育の現場に関わる機会を得た。

その時、「この環境で、ほんとうに自立できる子が育つのか?」という疑問を持った。

教師1人に対して生徒30〜40人。事務作業等もあり教師は忙しい。これでは一人ひとりの個性に目を届かせることはできそうにない。また、社会経験がなければ、本質的な指導もできそうにない。さらに、生徒一人ひとりの個性を引き出し、やる気を高めるようなノウハウ(心理学やコーチングなど)も活用されていない。

この経験をきっかけに、「学校教育の外で、自立できる子が育つ環境をつくる」というビジョンを抱くようになった。そこから、独立できそうな仕事を探し続けてきた。仕事で無理をして身体を壊すこともあった。つらい経験もあったが、その経験もあったおかげで、今年、自分の塾を開講する機会に恵まれることになった。

子どもに勧める?

子どもがいないのでわからないが、何を職業にするにせよ、ビジョンを持っているのであれば、できることからコツコツやればいい。諦めず、壁を乗り越え、前に進み続けたら必ず何とかなる。助けてくれる人が出てくる。

大切にしていることは?

自分を大事にすること。自分を大事にしないと、他人を大事にできない。自分を大事にすることは、自己中心ではなく、他人を大事にすること。

自己中心とは、周囲の目を気にすること。「よく見られたい」とか、「認められるような結果を出したい」と思い、行動すること。周囲の目を気にすることは、一見、他人のことを考えているようだが、実際には自分のことしか考えていない。かと言って、自分を大事にもしていない。どこかにいる理想の自分を追い求めて、いまの自分を否定しているだけ。「このままじゃいけない」とできない自分を責めているだけ。自分のマイナスを見つけてそれをエネルギーに変えているだけ。ある程度までは、マイナスをエネルギーに変えることで進んでいけるが、それは必ずどこかで燃え尽きる。これでは、自分を大事にできない。自分を大事にできなければ、他人を大事にできない。自分をないがしろにしていたら、何もうまくいかない。

子どもたちも、自分を大事にする人になって欲しい。自己肯定感を持って欲しい。挑戦できる人になって欲しい。そのためには、安心感、繋がり感を持てていることが重要になる。子どもたちにとって、よりどころとなる環境をつくっていきたい。

大変なことは?

子どもたちに対して、自分の考えを押し付けないように接すること。待つこと。答えを教えないようにすること。

食っていくために工夫していることは?

塾の開講はこれからなので、まさにこれから試行錯誤していくところ。

一方、ありがたいことに、塾の開講を支援してくれている方のもとでも仕事をさせてもらっている。

なお、もともとは、いきなり自分で塾を開くことは想定していなかった。資金的余裕と経営ノウハウ、そして時間的余裕が必要だと思っていた。だが実際には、それほど資金がかかるわけではない。経営ノウハウは、やりながら身につけていけばいいし、塾の開講を支援してくれている(経営者の)方から学ぶこともできる。基本的には、塾に注力できるので、時間的余裕もある。

こういう経験からも、ビジョンを持っていれば、必ず実現できると信じている。

Sさんにとって塾講師とは?

教える人、というよりは、寄り添う人。

塾講師、塾長というよりは、近所のおっさんのような存在でありたい。

子どもと何気ない挨拶や会話を交わしたり、「どうしたらいいと思う?」と子どもを信じて聞いてみたり。

以前、友人が自作のドラムをつくってくれたことがあった。それを見た子どもたちが我れ先にとドラムを叩きだした。誰がこうしなさいというのでもなく、子どもたちが自由にやりたいことをやっている。夢中になっている。

そんな風に、子どもの目が輝き出す瞬間を見られたら嬉しい。そんな環境をつくっていきたい。


教えるのではなく、寄り添う。
指示するのではなく、やりたくなる環境をつくる。

次世代リーダーを輩出していく上で、非常に重要な姿勢や考え方であると感じた。

どっひー&sing

【一日一職】詩人

Kさんは、ビジネススタイルで現れた。
「個人の名刺をお渡ししますね、よろしくお願いします。」

あれ?全然、詩人っぽくない…

その後、クラウドファンディングで出版したという詩集を見せてくれた。
その詩集を手にしながら、そこに込められた想いを語るその言葉は、詩人そのものであった。

そして、Kさんはこう言った。
「詩人とは、言葉や想いの代弁者であると想っています。」

当初私は、自分の想いを詩という形で表現するのが詩人だと思い込んでいた。

Kさんとの出会いにより、私の詩人に対する概念はガラッと変わった。


職業:詩人
氏名:Kさん(男性・40代)
(前職)会社役員

どんな仕事?

詩人は、「言葉や想いの代弁者」である。

名もなき人や声の届かない人の言葉や想いを代弁する人、応援する人でありたい。また、詩を書いて終わりではなく、人が変わるきっかけをつくっていきたい。だから、企業の中にも入るし、学校の中にも入るし、アジアにと届けていきたい。私は「日本一の詩人」になろうと決めている。

きっかけは?

東日本大震災後の2012年。いろんな経営者の先輩たちから教えてもらってきたいろんな言葉を残したいと思い、facebookページを立ち上げ、投稿しはじめた。ある時、友人から「一週間に一回だと忘れていて、読めない」「毎日、元気になる言葉を書いてくれ」と言われた。当時、仕事をしながらだったので毎日書くことに躊躇したが、「悩んでいる人もたくさんいるから」という友人の勧めもあり、毎日元気になる言葉を投稿しはじめた。その後、1ヶ月もしなかった頃に、いじめられている子どものいるお母さんから「読んで元気になっています」とのメッセージをいただいた。その時に、「一生、何かを書き続けよう」と決めた。あれがなかったら、いまこんなことにはなっていなかったような気がする。

「言葉で元気になる方がいらっしゃるのであれば」ということで、2012年から5年以上、facebookページに毎日毎日何かを書いてアップし続けてきた。

会社の名前を一切出さず、はじめは書いている自分の名前も出していなかった。詩を書いているつもりもなかった。題もなかった。会話のような一編を書いていた。そのうちに、「題がないとわかりにくいですよ」とか、「漢字が読めないです」という声が寄せられるようになった。これを受け、題を付けたり、ひらがなで読みやすい言葉を書くようになった。

そもそも応援の言葉は読めることが前提。自分の世界観を伝えたい訳でもなかった。誰かを元気にするためのものになったらいい、と思ってはじめたこと。こうじゃないとダメ、というこだわりもなかった。写真もはじめは風景だけだった。そのうち、子どもの写真を使ってくれという要望をいただくようになった。そういう中で5年以上、詩の投稿を続け、詩集もクラウドファンディングで出版することになった。

どちらかというと、詩も詩集も、私がつくったというより、周りの人につくっていただいた、という感覚を持っている。

子どもに勧める?

仕事は、詩人でも何でもいい。やりたいことと好きなことがあれば、それをやって欲しい。

どの仕事について欲しいとか、どの仕事が良くてどの仕事が良くないとかはない。ただ、好きなことを選んで欲しい。好きを突き詰めて欲しい。誰かの笑顔をつくって行って欲しい。

大切にしていることは?

「ありがとう」を感じること。

当たり前にならないで、日々楽しくいきる。

「ありがとう」は「有難い」ということ。「有難い」ということは、当たり前ではないということ。「ありがとう」を感じるということは、『価値観のアップデートをしていることだと』想っています。自分の価値観のアップデートをしていくことは、ものすごい教育になると考えています。

人に対する見方、物事に対する考え方を大切にしたいです。言葉を生む時間よりも、哲学をしている時間の方が長いですよね。

つらいことは?

共感したり、人の思いを感じるということは、痛みとか不安とか寂しさを一緒に感じているということ。写真を見て言葉を考えながら泣いてる時もある。自分ではよくわからないが、もしかしたら見えないところで苦しんでいるところがあるのかもしれない。

あと、酔っ払っている時に詩をつくるのは大変(笑)

食っていくために工夫していることは?

食っていくために工夫という意識は持ってなくて。

いっぱい一緒に喜びあえるようには、考えています。

Kさんにとって詩人とは?

詩人という、生き方を選びました。

詩になる言葉をつくる場所は、部屋ではなく、人が生きている場所にあると思っています。


誰かの言葉や想いを代弁する人、応援する人でありたい。

そう語るだけでなく、それを詩人として実践されているKさん。
その根底には人の痛みや不安や寂しさに共感できる優しさがあり、またその優しさは、Kさん自身の人生経験の深さによって醸成されたものなのだろうな、と感じました。

どっひー &sing

【一日一職】生命保険外交員

インタビューの冒頭、Bさんは私に対してこう言った。

「『一日一職』インタビューに喜んでご協力します。あと、他にもインタビューに協力してくれる方をお二人ご紹介しますね」

なんとBさんは、お二人の方にインタビューへの協力を依頼し、すでに承諾を得ているというのだ。

私がBさんに紹介をお願いする以前に。しかも二人も。

思いがけない出来事に、私は思わずBさんの手を握り、「ありがとうございます!」と言っていた。

インタビューの最後、Bさんは私に対してこう言った。

「依頼されたインタビューに応えるのは当然。その上で期待を超えるにはどうすればいいか?」

「これを考えた結果として、お二人の方をご紹介させていただきます」

目の前にいる人の期待を超えるにはどうすればいいか?

Bさんの仕事に対する姿勢を端的に物語る出来事であった。

以下、生命保険外交員Bさんへのインタビュー内容を抜粋してお伝えする。

詳細は、別途記事としてまとめていく予定である。


職業:生命保険外交員
氏名:Bさん(男性・40代)
*外資系金融機関で個人事業主として勤務
(前職)東証一部上場企業の営業マン

どんな仕事?

生命保険外交員は、「人生におけるあらゆるお金の問題を解決する仕事」である。

セールスの目的は「お客様の問題解決をすること」であり、生命保険は問題解決のための手段である。

お客様が将来(10年以上先に)起こりうる資金不足に備えられるよう、ライフプランを提案する。

前職もセールスの仕事であったが、その時は「自分自身を切り売りしている」ような感覚があった。

現職になってセールスの概念がガラッと変わった。

きっかけは?

10年前、30歳の時に生命保険外交員に転職した。きっかけは二つ。

①前職で7〜8年が過ぎ、次の目指す姿を探していた
②生命保険外交員であった先輩の勧めで、自分自身が生命保険に入った

「これで、自分に万一のことがあっても、妻が(経済的には)安心して毎月暮らしていくことができる」と思えた。

その時、「大切な人を安心させることができた」と思うと同時に、「自分の責任を果たせた」というような感覚があった。

「生命保険とは、何と尊いものなのだろう」と思い、生命保険外交員に転職した。

子どもに勧める?

勧める。ぜひやって欲しい。理由は二つ。

①時間を自由に使える(時間割を自分で組める)
②自分が人間的に成長できる

与えられた仕事をこなすのではなく、すべてを自分でつくっていける仕事である。

付き合いたい人を顧客にしていける。顧客のようでいて友人のような関係を築くことができる。

大切にしていることは?

目的意識を持つこと。どんな人間になりたいか?を明確にすること。主体性を持つこと。

より具体的には「断られまくっても、もう一本電話をかけられる」こと。

1日10件電話をかけると決めたら、1日10件電話をかける。アポが取れた日でも取れない日でも10件電話をかける。

アポが取れるか断られるかは、自分でコントロールできないこと。自分でコントロールできないことに一喜一憂せず、自分でコントロールできることに集中する。自分との約束を守ること。

嫌なことは?

あまりない。しいて言えば、「孤独」なところかも。自分に言い訳ができないから。

ただし、それは「自由」であることの裏返しなので、「孤独」が嫌かと言われるとそういう訳ではない。むしろあまりに「自由」すぎるので、逆に「強制」されることが嫌になる、という面があるかもしれない。

食っていくために工夫していることは?

収入と時間と行動のバランスを取ること。子どもと過ごす時間を大切にしたいので、週2日は休みを入れるようにしている。一方で、年収の目標もある。週5日で目標年数を得るためには、いくらの預かり契約高が必要なのか。そのために毎日何件訪問しないといけないのか。そのために毎日何件アポの電話をかけないといけないのか、というように、目標を明確にした上で、目標達成に必要な行動を計画し、それを日々実行していくことを心がけている。

Bさんにとって生命保険外交員とは?

生命保険外交員は、職業というよりも、生き方である。生命保険外交員という生き方を選択したと思っている。

「こんなええ仕事、やめられへんな〜」と思っている。


目的意識を持つこと。どんな人間になりたいか?を明確にすること。主体性を持つこと。

「期待を超える行動」を生み出す原動力は、こういう目に見えないところにあるのでしょうね。

どっひー &sing

足跡を残すということ

今日から『一日一職』活動をスタートする。

7月は、31日間かけて、毎日いろんな職業の人に会いに行く。

旗を掲げることは簡単。

だが実現には努力が必要。

一日一日を歩く。

足跡を残す。

ただそれだけを為すのみ。

“僕の前に道はない

僕の後ろに道は出来る”

(高村光太郎『道程』より)

この7月。どんな足跡を残しますか?

Think Big, Act Small, & Sing♪

どっひー &sing

『一日一職』と『一職見学会(仮称)』

先日、「7月は毎日いろんな職業の人に会いに行こう!」ということで、『一日一職』プロジェクトを掲げた。

目的は、未来の子どもたちの職業選択の幅を広げることである。

当初、『一日一職』活動(毎日いろんな職業の人に会いに行くこと)それ自体を有料の講座にできないか、と考えていた。

しかし、これについては断念した。

毎日のアポイントメントを取りつつ、同時に参加者を募るというのは、現実的ではない、と(いまさらながら!)気づいたためである(お恥ずかしい…)。

ということで、『一日一職』活動は、有料の講座にはせず、基本的には「私が」毎日いろんな職業の人に会いに行くという形で進めることにした(ただし、同行希望者がいる場合には同行していただく予定。また、この活動にご協力いただける方も引き続き募集中です)。

ただ一方で、やはり有料の講座も開催していきたい。

職業選択の幅を広げる機会になるような講座を開催していきたい。

ビジネスとして。

ということで、7月は、『一日一職』活動とは別に、『一職見学会(仮称)』を立ち上げたいと考えている。

ある職業の人の職場に行き、その仕事の裏側を見せてもらったり、体験させてもらったり、裏話を聞かせてもらったり。その職業で食っていくためにどんな工夫をしているのかを聞かせてもらったり。

そんな『一職見学会(仮称)』を7月に1、2回は開催したいなぁー、と思っています。

こちらの詳細が決まりましたら、改めてお知らせいたします。

では明日から、『一日一職』活動を始めていきます。

よろしくお願いいたします。

どっひー &sing

『一日一職』プロジェクト!

職業選択に関して、こんな声を聞く。

「私、いまの職業には向いていないんじゃないか?」

「うちの子、どんな職業に向いているんだろう?」

「そもそも就職や転職に際して、世の中にどんな職業があるのかを知らなさすぎる」

「子どもがいろんな職業のことを具体的に知る機会がない」

「大人も職業のことを知らない。大学卒業後の職業選びは、会社選びになってしまっている」

「世の中には、もっといろんな職業があることを知るべきじゃないのか?」

などなど。

じゃあ、いろんな職業のことを知る機会をつくってみようじゃないか!

いろんな職業の人に出会う機会をつくってみようじゃないか!

ということで、7月は、一日一食ならぬ、『一日一職』プロジェクトをやってみよう!と考えています。

毎日いろんな職業の人に会いに行って働く姿を見せてもらって話を聞いて出来たら仕事を体験させてもらって。それ自体を講座にできたらいいな、と。

その仕事の醍醐味、喜び、気持ち良さ。辛さ、苦しさ、大変さ。その職業へ至るまでの道筋。助けてくれた人、助けてあげた人。身につけてきたもの。捨ててきたもの。その職業を目指している人たちに伝えたいこと。いま頑張るべきことなど。そんなことを聞いてみたい。

これを7月中に出来たら、8月には子どもたちを集めて「いろんな職業の人たちに話しを聞いてみようサマースクール」みたいなのを開催したい。

まずは私の知人のツテを頼って、最悪、参加者ゼロでもいいからスタートしてみたい。

もし『一日一職』プロジェクトに共感していただける方がいらっしゃれば、ぜひ一緒にいろんな職業の人を訪問していきたい。

訪問したら、それを記事にもしていきたい。

『一日一職』を31日間続けさえすれば、31人、31職の記事が出来上がる。

もし一人で複数の職業をお持ちの方がいらっしゃれば、31職以上になる。

できたら、子どもや学生にインタビュアーになって欲しい。厳密にはインタビューだけでなく、体験を含むから、特派員とかフィールドリサーチャーだろうか。

いずれにせよ、大人の先入観に囚われてしまわないように、子どもや学生の目や耳や肌を通してその職業を感じてもらいたい。そこで見て聞いて感じたことを素直に記事にして欲しい。そしてそれを他の子どもや大人にも読んでもらえるものにしたい。

将来、AIやロボットなどの普及でたくさんの職業が失われる、などと言われる。

ダイヤモンドオンラインの記事によると、「機械に奪われそうな仕事」の1位は小売店販売員、2位は会計士、3位は一般事務員とある。

しかしながら一方で、いま実際にその職業に就いている人がいる。

その人たちは決して手をこまねいている訳ではない。座して死を待つはずがない。必ず「変化しよう」と試みているはずだ。

  • その人は、いま何をしているのか?
  • いまどんな未来を見ているのか?
  • そのためにいま何をしているのか?
  • いま何がうまくいって、何がうまくいかなくなっているのか?
  • いま何が必要で、何に困っているのか?
  • 他のどんな職業の人たちと、どんな協力関係を築こうとしているのか?
  • どう変化しようとしているのか?
  • 何を新たに身に付けようとしているのか?

いろんな職業の人たちのリアルな姿やその人たちが実地で試行錯誤していること。

そんなことがわかれば、子どもたちは、親世代の先入観に囚われず、自分の目と耳と肌を通して、職業や進路を選択できるようになるのではないだろうか?

自分の好きを仕事にするためのリアルな情報を得られるのではないだろうか?

また、私自身を含めた大人も、これまでの先入観を捨てて、いま就いている職業の素晴らしさを再発見したり、未来に向けた職業変化の方向性を見定めたり、他の職業との協力関係を築きはじめるきっかけを得られるのではないだろうか?

ということで、7月は『一日一職』プロジェクト!を実行したいと思っています。

つきましては、

  • 職場訪問にご協力いただける方
  • 職場訪問にご同行いただける方
  • 職場訪問の記事を書いていただける方
  • プロジェクトの企画・運営にご協力いただける方
  • その他、「こんなことならできるよー」と言っていただける方

アンドシングの土肥(どひ)までご連絡をいただけますと幸いです。

また、もしよろしければ、今週6月23日(土)13:30から北浜で開催する『ジブンノシゴトのつくり方』教室にお越しいただければ嬉しいです。

受講料3000円、私の本を持参いただければ2000円とご案内していますが、もう僕の本とかどうでもいいです。

「この記事を見て来たよ〜♪」と言っていただければ、受講料2000円にします。

『ジブンノシゴトのつくり方』第2回のテーマは、「自分の好きを職業に転換しよう♪」ですので、お互いの気になる職業を出し合って、「7月にその職業の人に会いに行こう!」となれば、そこから(そこで)アポを取って実際に会いに行けたらいいな〜、なんて思っています。

あとは、昔懐かし『笑っていいとも!』のテレホンショッキング方式。ある日ある場所でお会いした職業の方から別の職業の方をご紹介いただき、31日間かけて累計31人、31職以上の方々にお会いすることで、『一日一職』を実現したい!と思っています。

もちろん、先の講座にお越しいただかなくても、ご協力いただける方がいらっしゃれば、個別にご連絡ください!

ぜひ一緒に『一日一職』プロジェクトを完走できたらいいな〜、と思っています。

よろしくお願いいたします!

土肥卓哉(どっひー) &sing

*『ジブンノシゴトのつくり方』教室のご案内はコチラです。
https://www.kokuchpro.com/event/62b56b4dd0302ba10ac84685ab5fd8ed/290365/