ババちゃん貯金

祖父からビジネスについて教えてもらったことはないが、お金の使い方について学んだことがある。

どのようにお金を使えば、みんながハッピーになるか?

私は、”ババちゃん貯金”と呼ばれたお金のシステムから、多くのことを学んでいる。いまだにわからないこともある。そのシステムを考案した祖父の心をずっと考え続けている。ちなみに、ババちゃんとは、祖母のニックネームである。

ババちゃん貯金の仕組みはこうだ。この仕組みの中心には貯金箱がいる。私の貯金箱は、黒色の古い電話機のデザインだった。

1. 子どもは、家のお手伝いをする

2. お母さんは、お駄賃を渡す

3. 子どもは、お駄賃を貯金箱に入れる

4. 子どもは、一年間、貯金箱を開けずに我慢する

5. 子どもたちは、ババちゃんの誕生日に祖母の家に集まる

6. 子どもたちは、祖母の前で、その貯金箱を開ける

7. 子どもたちは、その貯金箱に入っているお金の金額を祖母に申告する

8. 祖母は、その貯金箱に入っているお金と同額を子どもにあげる

9. 子どもたちは、貯金箱に入っていたお金と祖母からもらったお金を手にする

10. 貯金箱は再び閉じられ、また一年間、開かれずに佇んでいる

流れとしては以上である。

まず、子どもだった私は、「自分が働いたらお金をもらえ、さらにそれが2倍になって返ってくる」という経験をしていた。それも毎年。たしか小学生の頃はずっとだったと思う。2倍になって返ってくる、というのは子ども心にとって相当刺激的だった。もし貯金箱に1万円が入っていたら、2万円になるのである。頑張るに決まっている。一方で、一年間、貯金箱を開けずに我慢するという忍耐力も身についた。

だが、この仕組みが秀逸だったのは、みんながハッピーになることだった。

子どもにとっては、お手伝いをしたら親に褒められ、お金をもらえ、しかもそれが2倍になって返ってくる。

母親にとっては、子どもに家のお手伝いをしてもらえる。最終的に祖母もお金を出すので、お駄賃は少なくても、いい。子どもに貯金の習慣も身につけさせることができる。

祖母にとっては、自分の誕生日に、必ず子どもたちが会いに来てくれる。しかも毎日、子どもたちが母親のためにお手伝いをして喜んでいる姿を想像して喜べる。また、子どもにお手伝いをしてもらって喜んでいる母親の姿を想像して喜べる。

最後に、このシステムを考案した祖父だ。この状況を見て、祖父が何を感じていたのかはわからないが、家族みんなが家に来て楽しそうにしている姿を見てすごく喜んでいた。

私がこのシステムを通じて学んだことは他にもある。特に大きいのは、自分に不正をしようとする心があることを知ったことだ。自分で貯金箱にお金を入れてしまえば、それと同額が一年以内に返ってくるのだ。こんな簡単にお金が手に入る方法が目の前にあって、それでも我慢する、というのはなかなか大変なことだ。これについては、またどこかで触れてみたいと思う。

どのようにお金を使えば、みんながハッピーになるか?

リーダーとして、お金の使い方を考える上での一つのヒントになれば幸いです。

TAKU &sing

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