家族への愛

リーダーが一番大切にしたいものは何か?

それは人それぞれだろう。

私にとって、それは”家族の幸せ”である。

これは、私の実感にもとづくものであり、かつ、祖父の笑顔から感じたことである。

土肥家では、毎年、お正月に祖父の家に集まっていた。一堂が集まった席で、祖父が年始の挨拶をする。その挨拶の内容は、毎年毎年同じ内容だった。

その内容は、概ねこんな内容だった。

「私と祖母の二人で始まったこの家族も、今年で20人になりました!息子たち、娘たち。その孫たち。そしてひ孫たち。昨年はいろいろあったけど、今年もこうして無事に新年を迎えることができました。ありがとう。今年もそれぞれ元気で健やかに一年を過ごしましょう」

ものすごく他愛のない内容だ。でも、私にとっては、ものすごく重要な内容だった。いや、ものすごく重要な光景だったのだ。

祖父は会社の創業者であり、社長であった。父が社長を継いだ後は、会長だった(と思う)。私にとって祖父は、「会社の創業者たるもの、会社の社長たるものかくありなん」というロールモデルであった。その祖父が、毎年毎年同じことを言うのだ。しかも、ものすごく嬉しそうに。幸せそうに。語るのだ。

私は、その祖父の姿を見て、こう思った。

会社の創業者が一番大切にしたいものは、家族の幸せなんだ、と。

そこに理屈はない。祖父の姿、表情、声のトーン。毎年必ず繰り返される言説。そこから、私が無意識に感じたことだ。

祖父は家族一人一人の幸せを心から願っていたのだろう

自分のことよりも、自分以外の人のことを大切に想う人であった。いつも、相手のことを気遣う人であった。

大学生の頃だったろうか。就職した頃だったろうか。私は祖父と祖母に宛てて手紙を書いたことがある。

私は祖父と祖母が好きだ。何より二人の笑顔が好きだ。私も祖父と祖母のような家族を創りたい。いつも笑顔に溢れる家族を創りたい。

こんなようなことを書いたと記憶している。

よくよく考えてみたら、会社の創業者がみな同じ想いを持っているかどうかはわからない。そりゃそうだ。家族が一堂に会する席で、その人がいつもいつも何を言うかなんてことを見る機会はない。

私の祖父は、世の中全体から見れば、1つのサンプルに過ぎない。世の中には、会社の創業者はたくさんいる。だから、会社の創業者が一番大切にしたいものが何かを統計的に言いあてようとするなら、一定以上のサンプルを集めて調査、分析する必要がある。

しかし、私にとっての祖父の存在は、1つのサンプルではない。唯一絶対の存在である。そして、その姿、その光景から、おそらく一生揺るがないであろう信念を形成している。

私が一番大切にしたいものは、家族の幸せである

自分にとってほんとうに大切な人が、ほんとうに大切にしているもの。

それが結局は、自分が大切にしたいものになるのではないでしょうか。

人は大切な人から大切なものを学ぶ

私はそんな風に感じています。

あなたが一番大切にしたいものは何ですか?

TAKU &sing

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