私は、中学生の頃から、この言葉に悩まされてきた。
「それで、どうやって食べていくの?」
義務教育は中学校までである。高校や大学は自分の意思で行くところである。つまり、高校や大学に進学するか否かは、進路の”選択”であり、意思決定なのである。
まして、会社に就職するか否かも、進路の”選択”であり、意思決定である。
しかしながら、その選択肢はいびつだった。
「どこの高校を受験しますか?」
「どこの大学を受験しますか?」
「どこの会社を受験しますか?」
すごく不思議な質問である。
高校に進学すること、大学に進学すること、会社に就職することが(暗黙の)前提になっている。
「高校には行かない」
「大学には行かない」
「就職しない」
私がこういうと、必ず親や先生にこう言われた。
「それで、どうするの?」と。
「働く」「バイトする」と答えると、こう言われた。
「それで、どうやって食べていくの?」と。
これって「すごくズルイ!」と私は思ってきた。
私が、親や先生に対して、「ズルイ!」と思ってきたことは3つある。
1. 進学や就職以外の選択肢を教えてくれなかったこと
2. 食っていくための方法を教えてくれなかったこと
3. “私の”やりたいことが何かを聞いてくれなかったこと
一方で、いまや大人になり、親になってしまった私は思う。
私は、子どもたちに対して、先の3つのズルイを解消できているのだろうか?と。
1. 進学や就職以外の選択肢を教えてあげる
2. 食っていくための方法を教えてあげる
3. “その子(その人)の”やりたいことが何かを聞いてあげる
いまだ、いずれも満足にできているとは言えない。
いや、まだどれも全くできていない。
私は、44歳にもなって、自分の子どもたちに対して、気の利いたことを何一つアドバイスしてあげられない。
もちろん、どうするかを決めるのは子どもたちだ。
進路を選択するのも、子どもたち自身だ。
しかも、その選択肢は、進学か就職かの二社択一でもない。
学びながら働く。働きながら学ぶ。そういう選択肢だってある。
この世の中で食っていくための方法。
それは無数にあるはず。
なぜならば、とても沢山の人たちが、この世の中でしっかりと食って生きているのだから。
「どうやって食っていけばいいのか?」
親として、一個人として。この質問に対してしっかりと答えられるようになりたいと思っています。
「こういう方法もあるよ」「こういう人もいるよ」と子どもたちに伝えられるようになりたいと思っています。
TAKU &sing