【現状維持に囚われない】未来への意思決定と機会原価のお話

先日、たぶんはじめてブログで管理会計に関わることを書いた。その時は「埋没原価」という概念について書いた(詳細は2018年6月7日の学ぶログを参照)。今日はその続きとして、「機会原価」について書いてみたい。

いずれも、未来への意思決定を考える上で、有用な概念だ。

ふだんの仕事や生活の中で「このままでいいんだろうか?」という疑問をお持ちの方には、ぜひ読んでもらいたい。未来への一歩を踏み出すかっけになれば幸いである。

さて、まずは機会原価の定義から。

機会原価とは、最善の意思決定の機会を逸したことによる損失のこと。実際に実現した利益 (または原価) と,実際に発生した事象に対して意思決定が最善のものであれば実現したであろう利益 (または原価) との差で表わされる。たとえば 100万円の資金でA社,B社,C社のなかから有利な株を購入する目的でA社の株を選択したものと仮定し,6ヵ月後の各社の株価はA社=130万円,B社=150万円,C社=110万円であるとする。もし最善の意思決定であればB社の株を選んでいたはずである。したがって機会原価は 150万円-130万円=20万円ということになる。

コトバンクより引用

ややわかりづらい感はあるが、機会原価とは「得べかりし利益」のことである。

そして、機会原価が私たちに教えてくれることは、「現状維持が当たり前だと思っていたらダメだよ〜」「現状維持は実は損しているのかもしれませんよ〜」ということだ。

例えば、「このままこの会社に居続けていいんだろうか?」という疑問を持ったとする。その時に考えるであろうことをざっくりとまとめてしまえば以下の2つの観点に集約される。

①このままこの会社に居続けることで得られるであろう利益(安心も含む)
②このままこの会社に居続けることで生じるであろう損失(苦痛も含む)

これに対して、機会原価という概念は、3つ目の観点を与えてくれる。

③もしこの会社にしがみつくことを止めたとしたら得られるであろう利益
*より正確に言えば、もしこの会社にしがみつくことを止めて「最善な選択をしたとすれば」得られるであろう利益

この3つ目の観点を持つか否かは、未来への意思決定に大きな影響を与える。

基本的に「現状維持」は、安心で苦痛が少ない。なぜならば、未知への不安が少ないからだ。その代わり、未来への希望はない。

この「未来への希望」を考えさせてくれるのが、機会原価だ。

「もしこの会社にしがみつくことを止めたとしたらどんないいことがある?」

「もし会社を辞めたとしたら、どんなことをする?そこでどんなものを得られる?」

「会社を辞めないとしても、副業をするとしたら、どんなことをする?そこでどんなものを得られる?」

などなど。

現状維持だけが人生ではなかったことを思い出させてくれる。

未来にはつねに複数の選択肢が広がっている。

「複数の」なんて甘っちょろい言葉で表される程度ではない。それこそ、何千、何万という無数の選択肢が広がっている。それも目の前に。

いまこの瞬間。一秒一秒ごとに無数の選択肢が広がっている。

別に仕事じゃなくても同じこと。趣味でも生活でもそう。

「いま」ウクレレを弾き始めたら、10年後には人前でウクレレを弾きながら歌っているかもしれない。

「いま」アラビア語を習い始めたら、10年後にはドバイで暮らしているかもしれない。

「いま」自分のビジネスを始めたら、10年後にはそのビジネスが花開いているかもしれない。

ただし、「いま」新たな道へと進む意思決定をしなければ、新たな未来がやってくることはない。「得べかりし利益」を得ることもない。

「いま」意思決定しないことは、「得べかりし利益」を失うこと。

機会原価という概念は、そのことを私たちに教えてくれる。

「現状維持が当たり前」「現状維持が一番得(損しない)」

暗黙的にそう考えているとしたら、一度、機会原価という概念について考えてみてはいかがでしょうか?

機会原価は、現状維持だけが人生ではなかったことを思い出させてくれます。

機会原価は、未来にはつねに複数の選択肢が広がっていることを思い出させてくれます。

もちろん「現状維持がベストな選択!」という結論もあり得ます。

無理に現状を変える必要もありません。

問題は、「暗黙的に」現状維持に囚われていることです。

現状維持を「自分が選択したことだ!」として捉えていないことです。

長く果てしない人生。

どうせなら、

「私の目の前にはたった一本の道しかない…」
と暗く嘆きながら、とぼとぼと歩いていくのではなく、

「私の目の前にはつねに複数の道が広がっている!」
と明るく希望を持ちながら、るんるんと歩いていきたい

そんな風に思っています。

どっひー &sing

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