私が本を出版した、ということに触発されて、安易に「私も出版しよう!」と思い立つ方がいるのではないか?との意見があったので、今日はその意見に応えるべくブログを書く。
1.はじめに
私個人としてはギャラクシーブックスを誹謗中傷するつもりはありませんが、「借金してまで本を出版しちゃう人もいるらしい」という現状を踏まえ、私の実体験と客観的事実にもとづき、注意喚起をしておきたいと思います。
出版の意思決定にあたっては、必ず自己責任と自己資金で行なってください。くれぐれも「夢の印税生活!」なんて甘い気持ちで意思決定しませんように。
また、私の本を買う、買わないも、必ず自己責任と自己資金でお願いします。決して借金してまで私の本を買っちゃダメですよ!
2.私が、ギャラクシーブックスでの出版を検討するに至った経緯
私は、2015年4月から数ヶ月間、アメブロでブログを書いていた。
2016年6月初め、ギャラクシーブックスの担当者からメールがあった。要件は、出版と取材の依頼。HPとブログを見て、連絡をしたとのこと。簡単に言えば、「あなたのブログを本にしませんか?」ということ。その際、「金額の一部負担」や「審査等」がある旨も記されていた。
その時点では、私は「いつか本を書いてみたいな〜」とは思っていたものの、実際に「本を書こう!」とは決めていなかった。
私には、商業出版の経験のある知人が何人かいたので、その一人に相談した。ギャラクシーブックスの評判や、出版にあたっての金額負担について聞いてみたところ、
・ギャラクシーブックスは知らない。
・商業出版だと、数百冊〜数千冊の初版買取がある。
・そもそも本は簡単には売れない。
ゆえに、
「赤字覚悟で出版の実績を作りたい、紙ベースで出版をしたい」
と思うならいいのでは、との助言をもらう。
一方、当時のギャラクシーブックスは、akippa株式会社の一事業部であり、私自身が同社のことと同社の社長のことを知っていたことから、まずは一度、話を聞いてみることにした。
(同社の出版事業のビジネスモデルを知りたい、という純粋な興味もあった)
※ちなみに、いまのギャラクシーブックス(galaxy株式会社)は、株式会社ショーケース・ティービー(東証一部上場)の100%子会社である。2017年7月に株式譲渡され、現在(2018年4月7日)に至っている。
ギャラクシーブックスの担当者とは、契約前に2-3回お会いして話をした。
その時の勧誘トークについては、実はあまり覚えていない。
(逆に言えば、無理に勧誘された、という記憶はない)
1回目にブログを本にするなら、どんなことを書きたいかの話をした。
2回目にお会いした後に、本の企画案をメールでいただいた。
3回目には、社内で通ったという企画書をワードでいただいた。
そして、6月末にギャラクシーブックスとの出版契約を正式に結んだ。
3.私が、ギャラクシーブックスとの出版契約締結を決めた理由
私は、以下4点を契約前に確認した。
①費用は数十万円(あえて具体的な金額を書くのは控える)
②販売価格は1冊1000円ちょっと
③印税は10%
つまり、1冊売れて100円ちょっと。
ゆえに、費用回収のためには、数千冊が売れる必要がある。
④出版形態はAmazonでのプリント・オン・デマンド(POD)
Amazonで注文したら印刷され、本になって顧客に届く。
つまり、本は書店には並ばない。ギャラクシーブックスは在庫を抱えない。
ゆえに、何千冊も売れる可能性はかなり低い。
つまり、本を出版しても費用を回収できないだろうことはわかっていた。
一方で、私は、出版するなら、と以下の目的と目標を掲げた。
<目的>
「日々のブログに書きなぐっていた内容を一冊の本として形にする」
つまり、目的は出版ではなく、一冊の本を書き上げること(執筆)にあった。
<目標>
①私自身が持つ(暗黙的な)思想や考え方を言語化し、体系化する
②従来、断片的に人に伝えていたことを本で読んでもらえるようにする
③40歳で独立した後に感じていることを現在進行形で記録に残す
とは言え、私一人で黙々と執筆していても本は完成しなさそうという感覚があった。それはずっとブログを書き続けていて感じていたこと。
一方で、章ごとに、締め切りを定め、人から助言をもらいながら執筆すれば、一冊の本を書けるだろう。そのパートナーとして、ギャラクシーブックスの担当者は適任そうだ。「この人となら一冊の本を書き上げられそうだ」と思った。
以上より、私は、ギャラクシーブックスと出版契約を結ぶことを決定した。
4.私が、ギャラクシーブックスで出版したことによる満足と不満
(2018年4月7日現在での評価)
上述の通り、私の目標は「一冊の本を書き上げること」であった。
一方で、課題は、章ごとに締め切りを定めて書き上げること。さらに、各章を全体としてまとまりのある形に仕上げること、であった。
その点を踏まえ、まず満足している点について書く。
<満足している点>
①「一冊の本を書き上げた」という事実
この点については、私自身は非常に満足している。ギャラクシーブックスの担当者とは、ほぼ毎月、計12回以上にわたり打ち合わせを実施した。1回2時間程度ではあるが、それ以外にも、適宜、メールでやりとりしていた。
費用が数十万円で、打ち合わせ回数が12回とすれば、1回数万円。これを高いと思うか、安いと思うかは人それぞれだとは思う。
しかし、私にとっては、ギャラクシーブックスの担当者の助言がなければ、一冊の本を書き上げることはできなかっただろう、と感じている。そういう意味では、決して高い金額ではなかった、と思っている。一種のコンサルティング料みたいなものである。
もしかしたら、ある人からすれば「ありえない」と言われる金額を払っているのかもしれない。そればかりはわからない。人には人の判断があるからだ。
②一冊の本として人に読んでもらえるようになった
私は、過去にも個別のキャリア相談を受ける機会があったが、一冊の本が完成したことで、まずはこれを読んでもらうことが可能になった。
一冊あたり税込1350円が適正価格かどうかは読者の判断次第だが、私自身は、決して高い価格ではない、と思っている。
仮に、個別のキャリア相談を無料で行ったとしても、対面なら費用はかかる。もし大阪市内の喫茶店で話をするとしたら、お互いに飲食代と交通費がかかる。飲食代(コーヒー代)が300円、交通費が往復1000円として、1人1回1300円。
それも私が本で書いた内容をすべて伝えるとしたら、1回1-2時間では済まない。すると、もしかしたら相談回数は複数回に及ぶかもしれない。そう考えると、税込1350円で読める本があることは、相談者にとっても、私にとっても、費用対効果のあることなのではないかと思っている。
もちろん、本だけでは一人一人の個人的な相談にしっかりと答えることはできない。だが一方で、本を読むだけで不安や悩みを解決する糸口を見つけられる人もいるのではないか、とも思う。
(そういう効果のある本になっているかどうかは、わからないが)
一方で、不満もなくはない。
<不満を感じている点>
①外表紙がないため、見栄えが良くない
まあ、これは初めからわかっていたことではあるが、実物を手にした時の多少の残念感は否めない。大切なのは中身だ!と思いつつも、やはり見た目も重要だとは思うので。
この点は、電子書籍でなく、実際に手にとってペンで書き込める紙の本に私がこだわった以上、仕方がないと割り切っている。
②ギャラクシーブックスには、販売促進力がない
これもある程度は想定していたが、正直、想定以下という感じ。どうも会社としてリーチできる顧客数はかなり少なそうだ。販促チャネルとしては、ギャラクシーブックスのHPとメルマガくらいしかないと思う。
販売チャネルがAmazonだけとは言え、やはり本にした以上は、もともと私と関わりのない人にも読んでもらいたい。少なくとも、「このままこの会社にいていいんだろうか?」と現在の職や会社に不安や悩みがある方、なぜか一歩を踏み出せない方には届けたい。
その点からすれば、本を届けられる人が、私自身(と知人)の繋がりを超えない、というのはかなり残念ではある。
この点、ギャラクシーブックスには頑張ってもらいたい。
5.どういう人なら、ギャラクシーブックスで出版したらいいのか?
ギャラクシーブックスでの出版=夢の印税生活となる可能性は極めて低い。
費用を印税で回収できる可能性もかなり低い。
なぜならば、費用回収には何千冊も本が売れる必要があり、そのためには何千人もの人に買ってもらう必要があるから。そしてその基礎となりうる販売促進力をギャラクシーブックスは持っていない(と現時点では思われる)から。
したがって、自らの努力なしでの顧客拡大や収入拡大は期待しづらい。
ゆえに、借金してまでギャラクシーブックスで出版するのは論外。
なら、「どういう人ならギャラクシーブックスで出版したらいいの?」というと。
①一冊の本を書き上げたいが、自分一人では書き上げられないため、誰かの助言が欲しい人
→自分一人で(あるいは知人に協力してもらえば)一冊の本を書き上げられる人ならいらない。
②どうしても紙の本をつくりたい人(加えて、印刷もしてもらいたい人)
→電子書籍でいいなら、電子出版にすればいいし、販売価格も安くできる。
→紙の本でも、自分で印刷して製本するなら、それでOK。
③販売チャネルはamazonだけでいいと割り切れる人
→書店に本を並べたい、多様なチャネルで販売したいなら、要望に合わない。
④もともと個別相談等でかかっている相手と自分の費用や時間を削減したい人
→売上拡大、顧客拡大以前に、コスト削減、時間削減効果が見込めるなら悪くない。
⑤上記の要望を満たすためだけに、数十万円のお金を払ってもいいと考える人
→当然ながら、相応のお金を払えない、払いたくないなら止めるべき。
→まして印税で費用を回収しよう、あわよくば儲けようと考えるのは論外。
以上より、結論。
ギャラクシーブックスで出版したらいいと思える人は、
「赤字覚悟で出版の実績を作りたい、紙ベースで出版をしたい」
という人だ。
まさに、私が最初に相談した知人の言葉が的を射ていると言える。
もっとシンプルに言えば、
「金にモノを言わせて一冊の本を書き上げたい!」
と思える人だ。
(こう書いちゃうとなんですが、僕もつまりはそういう人だった、ということなんでしょうね…)
6.最後に
しつこいようだが、冒頭の言葉を再掲してこのブログを終わりにしたいと思う。
私個人としてはギャラクシーブックスを誹謗中傷するつもりはありませんが、「借金してまで本を出版しちゃう人もいるらしい」という現状を踏まえ、私の実体験と客観的事実にもとづき、注意喚起をしておきたいと思います。
出版の意思決定にあたっては、必ず自己責任と自己資金で行なってください。くれぐれも「夢の印税生活!」なんて甘い気持ちで意思決定しませんように。
また、私の本を買う、買わないも、必ず自己責任と自己資金でお願いします。決して借金してまで私の本を買っちゃダメですよ!
追伸:
こちらの記事も、なかなか公正な記事だと思いますので、ご参照ください。
『ギャラクシーブックスの出版オファー(執筆依頼)についての見解
“右手にビジョン、左手に電卓を”
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文の里商店街にあるアートギャラリー
2023.10.23 OPEN