【一日一職】詩人

Kさんは、ビジネススタイルで現れた。
「個人の名刺をお渡ししますね、よろしくお願いします。」

あれ?全然、詩人っぽくない…

その後、クラウドファンディングで出版したという詩集を見せてくれた。
その詩集を手にしながら、そこに込められた想いを語るその言葉は、詩人そのものであった。

そして、Kさんはこう言った。
「詩人とは、言葉や想いの代弁者であると想っています。」

当初私は、自分の想いを詩という形で表現するのが詩人だと思い込んでいた。

Kさんとの出会いにより、私の詩人に対する概念はガラッと変わった。


職業:詩人
氏名:Kさん(男性・40代)
(前職)会社役員

どんな仕事?

詩人は、「言葉や想いの代弁者」である。

名もなき人や声の届かない人の言葉や想いを代弁する人、応援する人でありたい。また、詩を書いて終わりではなく、人が変わるきっかけをつくっていきたい。だから、企業の中にも入るし、学校の中にも入るし、アジアにと届けていきたい。私は「日本一の詩人」になろうと決めている。

きっかけは?

東日本大震災後の2012年。いろんな経営者の先輩たちから教えてもらってきたいろんな言葉を残したいと思い、facebookページを立ち上げ、投稿しはじめた。ある時、友人から「一週間に一回だと忘れていて、読めない」「毎日、元気になる言葉を書いてくれ」と言われた。当時、仕事をしながらだったので毎日書くことに躊躇したが、「悩んでいる人もたくさんいるから」という友人の勧めもあり、毎日元気になる言葉を投稿しはじめた。その後、1ヶ月もしなかった頃に、いじめられている子どものいるお母さんから「読んで元気になっています」とのメッセージをいただいた。その時に、「一生、何かを書き続けよう」と決めた。あれがなかったら、いまこんなことにはなっていなかったような気がする。

「言葉で元気になる方がいらっしゃるのであれば」ということで、2012年から5年以上、facebookページに毎日毎日何かを書いてアップし続けてきた。

会社の名前を一切出さず、はじめは書いている自分の名前も出していなかった。詩を書いているつもりもなかった。題もなかった。会話のような一編を書いていた。そのうちに、「題がないとわかりにくいですよ」とか、「漢字が読めないです」という声が寄せられるようになった。これを受け、題を付けたり、ひらがなで読みやすい言葉を書くようになった。

そもそも応援の言葉は読めることが前提。自分の世界観を伝えたい訳でもなかった。誰かを元気にするためのものになったらいい、と思ってはじめたこと。こうじゃないとダメ、というこだわりもなかった。写真もはじめは風景だけだった。そのうち、子どもの写真を使ってくれという要望をいただくようになった。そういう中で5年以上、詩の投稿を続け、詩集もクラウドファンディングで出版することになった。

どちらかというと、詩も詩集も、私がつくったというより、周りの人につくっていただいた、という感覚を持っている。

子どもに勧める?

仕事は、詩人でも何でもいい。やりたいことと好きなことがあれば、それをやって欲しい。

どの仕事について欲しいとか、どの仕事が良くてどの仕事が良くないとかはない。ただ、好きなことを選んで欲しい。好きを突き詰めて欲しい。誰かの笑顔をつくって行って欲しい。

大切にしていることは?

「ありがとう」を感じること。

当たり前にならないで、日々楽しくいきる。

「ありがとう」は「有難い」ということ。「有難い」ということは、当たり前ではないということ。「ありがとう」を感じるということは、『価値観のアップデートをしていることだと』想っています。自分の価値観のアップデートをしていくことは、ものすごい教育になると考えています。

人に対する見方、物事に対する考え方を大切にしたいです。言葉を生む時間よりも、哲学をしている時間の方が長いですよね。

つらいことは?

共感したり、人の思いを感じるということは、痛みとか不安とか寂しさを一緒に感じているということ。写真を見て言葉を考えながら泣いてる時もある。自分ではよくわからないが、もしかしたら見えないところで苦しんでいるところがあるのかもしれない。

あと、酔っ払っている時に詩をつくるのは大変(笑)

食っていくために工夫していることは?

食っていくために工夫という意識は持ってなくて。

いっぱい一緒に喜びあえるようには、考えています。

Kさんにとって詩人とは?

詩人という、生き方を選びました。

詩になる言葉をつくる場所は、部屋ではなく、人が生きている場所にあると思っています。


誰かの言葉や想いを代弁する人、応援する人でありたい。

そう語るだけでなく、それを詩人として実践されているKさん。
その根底には人の痛みや不安や寂しさに共感できる優しさがあり、またその優しさは、Kさん自身の人生経験の深さによって醸成されたものなのだろうな、と感じました。

どっひー &sing

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