昨日、甲子園に行った。第90回選抜高校野球の決勝戦。大阪桐蔭対智辯和歌山。
笑顔で、重い物を背負って、汗をかいている人を応援したくなる、ということを知った。
私は、まったく野球に興味がない。子供たちが「甲子園に行きたい」と言うので一念発起して出かけた。それでも甲子園の空気にひたるとワクワクした。スタジアムには魔法がかかっているのだろう。
大きな大きなスタジアムで、小さな小さな人間があらん限りの力を発揮して頑張る。人間のちっぽけさと偉大さを感じる。
そして、私は思う。いつかスタジアムでコンサートを開きたいな、と。高校野球を観ていても、どうしても考えてしまうのは歌のことだ。
高校球児のみなさん、ごめんなさい。でも、いい試合でした。感動しました。
野球は筋書きのないドラマ。とは、いい表現だな、と思う。
試合を結果から見るのではなく、ライブで観ると面白い。すごく感情移入しちゃう。
「うわっ、アウトになった」「もうツーアウトか」「頑張れ!」「うわーっ、打ち上げた…」「次行こ、次!」
一応、大阪桐蔭を応援していたのだが、いつのまにか智辯和歌山を応援していたりする。
現在進行形で、頑張る人を応援するのは、面白い。
さて、やたら前置きが長くなったが、本題に入る。
正直に言う。私が昨日、一番気になって応援していたのは、ビールの売り子さんたちだ。
1人だけ男性もいたが、大部分は女性。ピンクの帽子とユニフォームを着ていた。私が座っていた3塁側内野スタンド席の周りで活動していたのは、だいたい10人くらいだろうか。
すごく重そうなビールサーバーを背負って、スタンドの階段を上ったり降りたりしている。チューハイを売っている人は、肩からチューハイの缶が入った箱をぶら下げて、やはりスタンドの階段を上ったり降りたりしている。チューハイをカップに注ぐ時にはしゃがみ、そしてまた立ち上がる。すごい重労働。それを2時間近く続けていた。
でも、みんな笑顔。すごくいい笑顔。「私は、あなたのために、ビールを注ぎますよ」と語りかけてくるような笑顔。
昨日はすごーく暑かった。座っているだけで暑かった。鼻もほっぺたもヒリヒリするくらい暑かった。
彼女(彼)たちも、きっと暑かっただろう。彼女たちの方が、もっと暑かったはずだ。私は座っている。彼女たちは歩き回っている。その証拠に、彼女たちは、明らかに汗をかいている。
でもね。それでも笑顔なんだ。
しかも、ビールサーバーやチューハイの缶が入った箱を重そうに持ったりはしない。「もう、めっちゃ肩が痛いんですけど」みたいな仕草すらしない。
あくまでも笑顔で、スタンドに座っている観客を見て(決して試合は観ていない)、もくもくと「ビールどうですかぁ?」と言いながら歩き続けている。
なんか、素敵だなぁ。応援したいなぁ、という気分になった。
ビールの売り子さんが、私の座っている席の横を通るたびに、「あー、ビール飲もうかなぁ」「チューハイ飲もうかなぁ」と思わされた。すごい力。
昨日は家族がいる手前、2杯しか飲みませんでしたが、もっと応援したい気持ちで一杯でした。
以上、甲子園まで行って、いったい何を応援しとんねん!という話でした。
笑顔で、重い物を背負って、汗をかいている人って、なぜか応援したくなりません?
TAKU &sing